2013年10月7~11日 自転車日本一周の旅 20~24日目
ホームステイ2日目からはミカンの収穫をすることになった。
作業に集中していると自分がY家の闖入者であるという意識も薄らぐので精神的にもよろしい。
しかしこの愛媛県八幡浜市にあるミカン山からの景色は素晴らしい。
この段々畑はよく陽が当たるだけでなく、海に反射した光も当たるので、みかん作りには適しているのだそう。

台風が過ぎ去った滞在4日目からは天気もよく、青い海と空の絶景が広がっていた。
汗をかいて喉が乾いたら収穫している極早生(ごくわせ)という品種のミカンを木からもぎ、水分補給代わりにかぶりつく。
ほどよく酸味のある果汁がノドを潤してくれる感覚がたまらず、続けて2~3個かぶりついたりもした。
農地限定のご当地グルメである。

ミカン山からの景色を眺めながらとる休憩もすばらしい時間だった。
京都を出発してから2週間ちょっとではあったが、会社を辞めてからは3ヵ月近くになっていた。
久しぶりに働く事もよい刺激になっていたのだが、景色のいい果樹園で体を動かして過ごす日々に幸福感さえおぼえた。
もちろんこれが日常になってしまえば捉え方は変わるのだろうが。
それでも作業終わりにミカン山から夕陽を眺めていると満たされた気持ちになったし、一日の終わりは充足感でいっぱいだった。
会社勤めをしていた頃に漠然と思っていた充足感とは、なにか複雑で入り組んだ道の先にあるような気がしていたが、そうでもなかった。



このあたりからY家にもだいぶ馴染んできた空気が出てきた。
収穫作業にも慣れてきてメンバーの感じが出てきたような気もする。
末っ子のTとも共通の趣味であるバイクの話など気軽に出来るようになってきた。
ご飯ができたと長男Sと長女Kを階段の下から呼ぶTの「ゴハンでー!」という勇ましい声に私が微笑むのを見て、Tもニヤリとしていた。
それ以来、Tの「ゴハンでー!」と呼ぶ声が大きくなった気がして、彼なりに私を気遣って楽しませてくれていたのではないかと思う。
食卓の空気も以前より風通しが良くなった感じがした。
元々痩せ体質で、自転車生活により細さが増した私の体はY家の美味しいゴハンにより、滞在4日で一気に5㎏増えた。
その事を肝っ玉かあちゃんに伝えてからは「もっと食べろ、全部食べろ」とたくさん食べさせてもらい、毎日お腹いっぱいだった。
はじまりこそ絶望的な展開であったが、滞在から数日経った頃からは必要以上に縮こまるような気持ではなくなってきていた。
つづく








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