2013年10月16~17日 自転車日本一周の旅 30~31日目
25日間かけて時計回りに一周した四国を出る。
京都を出発してから約一ヶ月。気分的には半年くらい経ったのではないかと思うほど濃密な時間だった。
しまなみ海道を今治から尾道まで。途中、野宿で一泊してから渡った。







四国から広島に戻って初めに思ったのが、「野宿しやすそうな安心感が消えた」という事だった。
四国にはお遍路さんの文化があるからか、いつもどこかで土地の空気に大らかさというか、懐の深さみたいなものを感じていた気がする。
野宿しやすそうな里山が多かったり、自転車で一日走ってちょうどいい場所にキャンプ場があったりと、夜に不安を感じた事はあまりなかった。
しまなみ海道を渡り終えたらそれまでの安心感が無くなり、緊張の糸が張られるのを感じた。
(単純に泊まる場所が決まらないまま夜になってしまったというのもある)
その日は暗いなか隣の三原市まで走って運動公園で野宿した。
翌朝、7時にはテントを撤収して東屋で朝ご飯を食べていると中学野球部の一団が現れた。
大荷物を装備した自転車は目立つ。
その横で朝食を摂っているとなお目立つ。
40代くらいの厳しそうな顧問の先生が近づいてきて、「はぁ~、自転車旅ですか?」と声をかけられる。
日本一周の途中ですみたいな会話をしていると、先生が後ろに待機していた部員たちに呼びかける。
「おい、この人はなぁ、いま自転車で日本一周をしているそうだ!すごいじゃないか!お前らも見習え!むしろ連れてってもらって気合入れてこい!」
いつの時代も、先生の熱量というのはなかなか生徒達に伝わらない。
この場合も部員たちはポカンとしていたし、リアクションのしようもなかっただろう。
私もいきなり壇上に立たされたようで居心地が悪かった。
なにか立派な事をしたならまだしも、私はただの社会のはぐれものである。
そして先生は「これで飲み物でも買ってください」と財布から千円を抜き出して渡そうとしてくれた。
会社を辞めてきたとはいえ、いちおう社会人として固辞したが、押し切られて千円をいただいた。
つづく






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