キラキラガール

昔の自転車日本一周

2013年9月26日 自転車日本一周の旅 9日目

うどん県でうどんを食べてから野宿し、一夜明けた。
この日は徳島県鳴門市に向かう。

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夕方、電話予約していたゲストハウス、「道しるべ」に到着。
ドミトリーの同室に東京から来た理系大学生がいた。彼はK君といい、翌日に学会がなんとかかんとかで徳島に来ていると言っていた気がする。

その理由はあまり憶えていないが、話が盛り上がったことはよく憶えている。
会っていきなり狭い風呂に二人で入って親近感がわいたのかもしれない。

挨拶のついでにしばらく話していると、男性宿泊者が風呂に入れる時間が残り20分になっていた。
洗い場は2つあると聞いて急いで風呂場に向かった私たちは、「あ~、こういう感じね。」と諦めの声を漏らした。

一般家庭のお風呂が少し大きくなったかな?というサイズの浴室にシャワーが2つあるだけだった。
私たちは観念し、体育座りで身を寄せ合うように入浴した。

なんとなく近しくなったような気分は風呂上りも続き、修学旅行さながらに「気になる異性」の話で盛り上がった。
K君は旅行か青年海外協力隊的な何かでインドだかに行った際の話をした。

グループのメンバーはそれぞれ個室に泊まっていたらしいが、ある女の子が毎晩のようにK君の部屋を訪れては遅くまで話をしていったという。
しまいにはK君の部屋で眠ってしまうこともあったとか。

彼女はどういうつもりで毎夜のごとく自分の部屋に通ってくるのか。
私にはK君に気があるように聞こえたのだが、その子には彼氏がいたらしいのだ。
そしてK君は彼女に心を揺さぶられたまま帰国の日を迎えた。
彼は今でもその子に気持ちを告げるか迷っているらしかった。

まったく、思わせぶりもはなはだしい。
いわゆる “据え膳” の状態ではないか。

かくいう私も、彼ほどではないが似たような思いをしていた。
「なんだかいやに積極的ではないか」と思う子がいたのである。

だからK君の気持ちがよく理解できた。
むしろ彼の話に出てくる人物と、私の心当たりのある人物像が似通いすぎているので「まさか、同一人物では、、、?」と疑ったほどだ。

そんな偶然はあるはずがなく、世の中には天然なのかあざといのか、そういう思わせぶりぶりな行動で男を惑わす子が一定数存在するのだろう。

そういう子には海外旅行好きが多く、キラキラした笑顔の持ち主が多いというのが我々の共通認識であった。
そして、いとも簡単にそのキラキラに魅了されたのが私たち2人というのは言うまでもなかった。

私たちはそのように思わせぶりぶりな女子をキラキラガールと呼んだ。
彼女らは積極的といわれるような行動をとるものの、アプローチの意味が込められているのか判然としない。
異性の友達が多く天真爛漫なだけかもしれないので、冷静さを保つことが求められる。
だがそんな努力も虚しく、自分だけが気になって、揺さぶられ、いつしか虜になっている。

それが悔しくて私たちは、「キラキラガールは罪なヤツだ」と気が済むまで語り合った。

だが結局、「でもやっぱり、キラキラしててかわいいんだよなぁ、、、」
という意見に落ち着いてしまうのであった。

つづく

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