2013年10月5日 自転車日本一周の旅 18日目
愛媛県宇和島市から出発。
雨のなか35㎞走り、目的の八幡浜市に着いたのが朝9時。
この町は尾道で同じゲストハウスに泊まり、翌日のしまなみ海道を一緒に渡ったMの故郷らしい。
そしてMの実家はバーをやっているとの事で、愛媛に行く際はぜひ寄ってくれと言ってもらっていたのだ。
それにしてもかなり時間を持て余している。
雨が降っているのでアーケードの商店街に設置されたベンチで読書しながら昼を待つ。
昼食は八幡浜名物を ”お食事処 ロンドン” でいただく。
ご当地グルメ、 八幡浜ちゃんぽん。
あっさりスープとたっぷり野菜で身も心もあたたまる。
という説明が外の垂れ幕に書いてある。
私自身は味をまったく憶えていない。
夜になってMの実家のバーにお邪魔する。
ご両親にも話が通っていたらしく、とても温かく迎えてもらった。
カウンター席で話をしていると、一人で来店したご婦人が同じくカウンターに座った。
いかにも肝ったま母ちゃん然としているご婦人はYさんというらしい。
若い男と酒が飲めるのが嬉しいようで、終始上機嫌で私のことを「イケメンでぇ～」とほめそやす。
Yさんはミカン農家をしているという話になった時、Mの両親が「この子、1週間くらい住み込みで働かせてあげたらどうや？」と助け舟を出してくれた。
というのも、私は高知で先輩の実家に泊めてもらった際、「楽しいだけじゃなく有意義な時間にしたい。」と生真面目に話していた。
すると先輩のお父さんが、「どこかで働いてみるといいよ！絶対にいい経験になるから！」と勧めてくださって、私は「チャンスがあれば働いてきます！」と宣言した。
それをYさんが来る前にMの両親に話していたので助け舟を出してくださったのだ。
さっきまで上機嫌に「イケメンでぇ～」を繰り返していたYさんは急に酔いがさめた様子で渋っていた。
こんなチャンスはそうないと思った私は、ふだん飲まないアルコールの勢いにまかせ、「ぜひ！ぜひ！」とYさんを押し切った。
Yさんは「じゃあ、１週間だけ～？」と曖昧にではあるが了承する様子を見せてくれ、半ば無理やりに電話番号を交換させてもらった。
これが、”ミカン農家おしかけ騒動” のはじまりである。
つづく
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