2013年9月29~30日 自転車日本一周の旅 12~13日目
前日一緒に走ったイシダ君とは室戸岬で野宿して、翌朝から別々の場所に走り出す。
私は高知市内に向かう。先輩が地元の高知に戻っており、一泊お世話になることになっていた。
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翌日は土佐清水方面に向かって走る。
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昼頃に九礼大正町市場に立ち寄る。
昭和レトロな商店街で、名物だというカツオ丼を注文。
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渡された注文札の番号が呼ばれるまで周りの店を見物しようとぶらついていると、向かいの店でテーブルに刺身を乗せて客引きをしているおばちゃんがいた。
そこにグルメで目も舌も肥えてそうなオジサンが歩いてきた。
オジサンは、「カツオのタタキは地元産?」とおばちゃんに聞いた。
今はカツオ漁のシーズンではなく、地元産は目の前のテーブルに並べているソウダガツオの子どもだけだとおばちゃんは言っていた。
大きくなったソウダガツオは刺身では食べないらしく、いま並べているのは8月・9月のみ味わえる一品だという。
オジサンは「ふぅん」と興味なさげにどこかに行った。
おばちゃんは背後にいた私に向かって、「お兄さん、よかったらこれ食べて。おいしいよ。」と刺身が盛られた皿を差し出した。
私はおばちゃんから試食を勧められたのだと思った。
「え?いいんですか!?ありがとうございます!」と言って手を伸ばした私だが、試食用の爪楊枝がない事に気づいた。
どうしようかと思ったが、手を伸ばした勢いでそのまま刺身を指先でつまもうとした。
するとおばちゃんは素早く皿を引き、眉間にシワを寄せた。優しい口調だったおばちゃんは変人を見るような目つきに変わり「なにしよんか!売りもんやぞ!」と一喝した。
試食用ではなかったらしい。
私は叱られた子どもの気分のまま500円を支払い、ソウダガツオの刺身を購入した。
すりおろしたミカンとポン酢をかけてサッパリといただく。一切れ口に入れると、モチっとした弾力で噛み応えがあった。
とてもアッサリした赤身でありながら、噛んでいると脂ともまた違うトロッとした食感に変わる。
「これが若い肉体か」と思った。
一皿たっぷり、モチっとトロッとをサッパリ味わった。
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カツオ丼はとろろと甘めのタレをかけて美味しくいただいたが、おばちゃんの地元産についての話を聞いたあとだったので、「おい!お前は地元産なのかい!どうなんだい!」と気になって素直に味わえなかった。
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この日は他にも色々食べて、陽が暮れる頃に無料のキャンプ場で就寝した。
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つづく
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