三ツ矢サイダー並みに澄みきっていた21歳、夏。 part 4

2010年8月。バイク旅。
当時大学4回生。

「初めての北海道旅は、広すぎるあまり楽しみ方を知る前に走り回るだけで終わる事が多い。」
という言葉をよく聞く。

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私もあてはまってしまった。

初めての北海道は、あまりにも広かった。
隣町まで100kmほどなにも無いというのがざらで、本州の感覚であちこち移動していると気づけば連日東京〜大阪間くらいの距離を走っていたり。

当然、移動ばかりの日々に疲れは積み重なってくる。

出発して10日ほどが経った頃、ガソリンスタンドのおっちゃんに、「お兄さん、ずいぶん疲れた顔してるけど大丈夫?」と言われてしまった。

「そ、そんなことないですよ!」と、答える。

なに言ってんですか、憧れの北海道一人旅ですよ?

だって、憧れの、、、

あこがれの、、、

もう、認めるしかなかった。
もう、疲れた。
もう、お家に帰りたい。

そうして翌日、炭酸の抜けたサイダーのように気の抜けた私は、憧れの北海道から逃げるようにフェリー乗り場へ向かっていた。

旅の楽しみ方を知るようになるにはまだ時間がかかるのであった。

それでも、あの夏の思い出は今もシュワシュワと輝いている。

三ツ矢サイダー並みに澄みきっていた21歳、夏。

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