いろいろ振り切っていた22歳、冬 part6

2011年3月

貨物船みたいなフェリーで屋久島を出た。

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屋久島生活はまだ序章であった。
旅の一番の目的は、新月の夜に種子島で星空を見ることであった。

というのも、新海誠監督のアニメーション映画『秒速5センチメートル』の舞台となっている種子島に憧れ続けていたのだ。

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だが、この日の種子島はとんでもなく寒かった。
キンキンに冷えた真冬の空気が突き刺さるようだ。

地元の方も、「こんなに寒い日はめずらしい」と言うほどである。

夜、温泉に入ってから居を構えている宇宙ヶ丘公園キャンプ場へともどる。

誰もいない夜の芝生広場に、テントがポツリと一つたっている。
こんな真冬にキャンプをしている観光客は自分以外にいなかった。

まだ体が温まっているので、テントの中からマットをひっぱり出して、芝生に寝転び寝袋にくるまる。

耳に挿したイヤホンからは、『秒速5センチメートル』のサウンドラックが流れている。

誰もない夜の芝生で見上げた夜空には、期待を裏切らない数の星が瞬いていた。

しかし30分もすれば、体が冷えてきたので、テントの中に戻ることにする。

すぐにウトウトしはじめて眠りに落ちる。

どのくらい寝たのか、体が震えるほどの寒さで眠りから強引におこされる。

普通のテントは幕が二重構造になっていて、外気を少しでも和らげてくれるのだが、当時の僕が使っていた1000円のオモチャテントは、外界と薄い布一枚を隔てるのみだったので余計に寒いのである。

あたりはまだ暗くて静かだ。

気温は明け方頃が一番低下するので、午前4時か5時頃かな?

と思って時計を見ると、まだ午前0時だという事実に愕然とした。

あと何時間ガタガタと震えていなければいけないのかと考えると気が遠くなる。

結局、寒くて眠れない夜を過ごすことになった。

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いろいろ振り切っていた22歳、冬・完

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