北海道少女自転車旅行記4

千歳市から喜茂別町の宿まで自転車で向かうべく、リサイクルショップで3,300円の赤い少女自転車を入手した。
しかし予想外の体の痛みと恥ずかしさに苦しむ。

札幌市立大学前のバス停で大挙していた若者たちの前はどうにかやり過ごした。
その後、夜の訪れとともに精神と肉体の疲労がピークに達する。

宿泊のため札幌中心部のネットカフェまで自転車を押して歩くなかで後悔が頭の中をぐるぐる回る。
電車で行けば千円ちょっと、時間にして30分ほどで到着できる場所に3千円と丸一日をかけたのだ。

自分の愚かさに「なにが伝説や」とバカバカしくなり、私は自転車を処分する決意を固めた。

翌日は札幌で休養。
夜は3年ほど前に自転車で日本一周をしていた青年と再会して食事をした。

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木材の仕入れついでに滋賀で知り合いが営むカフェ兼アトリエに寄った際に出会った青年である。
その際に「京都寄るならウチに泊まっていいで」と伝えたら、翌日から2週間も滞在した猛者だ。

昔話に花を咲かせている中で彼は言った。
「あの少女自転車めっちゃ面白いです。あの自転車で喜茂別まで行ってほしいです。」と。

そして私の心に再び火がついた。
翌朝、朝4時半にネットカフェを出て喜茂別に向かった。

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私は札幌から喜茂別までの80㎞を漕ぎとおすため、初日には発揮されなかった順応性を発揮する。
少女自転車でも体の負担を減らし、かつ力を込められる立ち漕ぎの方法を修得した。

ハンドルを握る腕をピンと一直線に伸ばすことで上体が上がる。
その結果、足も伸ばしやすくなってハンドルとヒザがぶつからない事を発見したのだ。
低すぎる座面に尻を預けないことで、尻の痛みも減るはずだ。

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調子よくどんどん登っていく。傾斜も緩やかでペースも上がってくる。
「でも油断は禁物、、、そのうちドンとキツイ傾斜が現れるぞ、現れるぞ、、、」
と思っていたら、なんと簡単に頂上まで到着してしまったではないか。

時刻も昼前である。そのまま進めば宿の忙しいランチ営業の時間帯に着いてしまいそうだったので、
適度に時間をつぶして夕方に無事ゴールを迎える事が出来た。

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いろんな人から変人の称号をいただき、無事に伝説が残せた。
宿のお母さんはたどり着けるか心配してくださって、「中山峠を子ども用の自転車で走ってる人を見ませんでしたか?」と、車やバイクでランチを食べに来た何人かのお客さんに聞いたらしい。
聞かれた人は本気で変人だと思ったことだろう。

つづく

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